記事No.35 へのコメントです。
飯尾は、RF900Rのエンジンを担当するにあたり、大きな自信をもって取り組み始めた。というのも、RF900Rのエンジンの開発のキーとなる技術を、スズキがもっていることを知っていたからである。スズキには、モーターサイクルの世界に数々の歴史的な記録を残すエンジンがあった。それは、長年にわたり改良に改良を重ねて完成した、コンパクトで軽量な超高性能エンジンであった。彼のチームの仕事は、歴史的に知られているスズキのエンジンを、全く新しいキャラクターを持つエンジンに仕上げることだった。そのためには、幅広いパワーレンジと滑らかな高速ツーリング性能、そして135馬力(RF900R輸出仕様)の高出力の三つの要素を同時に満足しなければならなかった。そこで飯尾たちがすべきことは、シリンダーの口径とストロークを900cc用に改良し、ストレート・インテークポートをもつ新しいシリンダーヘッドを開発することだった。
飯尾はストレート・インテークポートを使用したうえでミドルサイズのキャブレターを用いれば、低・中回転域で十分なトルクを保ちながら良好なピークパワーと優れたレスポンスが得られるはずである、と考えた。そこで選ばれたのが、ミクニBDST36タイプである。 [ この記事にコメントを返信する ] [ 原文引用 ]